
2020年10月12日 / BLOG
こんにちは。公認会計士・税理士の金森俊亮です。
本日も昨日からの続きで収益認識に関する会計基準(以下、新収益認識基準と書きます。)の導入に関して記事にしたいと思います。
本日から3日ほどかけて、実際の導入の進め方について記事にします。
導入を進める際は、一般的に以下の2段階のステップを踏みます。
本日は、このうちの概要分析について記事にします。
まず始めにやることになるのが、概要分析と呼ばれるものです。
概要分析とは、自社が新収益認識基準を導入した際に、影響を与える可能性の高い箇所を把握するためのものです。
概要分析のやり方としては、質問表を作成し、グループ内の主要な事業を実施している箇所に回答を作成してもらうのが一般的です。質問表は、事業の中で5ステップにつき質問し、さらにそれぞれの論点についても回答をしてもらうことで、どの事業にて、会計基準の影響が及びそうかを網羅的に把握するように作成します。
回答が集まったら、回答内容の分析を行い、新収益認識基準導入にあたり論点が多そうな重要な領域を決定します。
新収益認識基準は、売上高に関する会計基準です。この基準は、導入することで売上高の計上時期や金額が従来と比較して変更になる可能性のある重要な会計基準になります。売上高は、どの企業の財務諸表の中でも1,2位を争うほど重要な勘定科目です。そのため、網羅的な検討を行う必要があるため、概要分析を実施することで、俯瞰的に把握をします。
また、新収益認識基準が導入された場合、監査人から、各事業を5ステップに当てはめて検討しているかと聞かれることになると思います。そのため、この概要分析で各事業の5ステップ(何が契約に該当し、1契約に履行義務はどれくらい含まれるのか等)を把握する必要もあります。
さらに、新収益認識基準では注記も内容を充実させています。項目の全てを記載する必要もないのですが、5ステップにあてはめた検討を行っていないと記載の要否も検討できません。
以上のような理由から、概要分析は、ざっくりと把握するために実施しますが、今後の調査の方針や導入後の開示も含めた検討を行うために、非常に重要な作業となります。
概要分析は、上述した通り、各事業の担当者に質問回答をしてもらいます。そのため、担当者も新収益認識基準について、ある程度の知識がないと回答ができません。
回答者の方が新収益認識基準に対して、明るくない場合(ほとんどの場合そうだと思います)先に研修等で知識をつけていただく必要があります。
新収益認識基準導入プロジェクトのチームメンバー(プロジェクトチームを組成していることを前提としていますが)が各事業ごとにヒアリングをしに行くという方法も考えられます。一連のヒアリングの回答で、質問表を埋めるという方法です。結局、質問表に回答してもらっても回答内容を追加でヒアリングすることは想定されますので、最初からヒアリングをしにいった方が効率的にもなります。
質問表の回答内容だけでは、理解できないことや回答内容が合っているか判別できないことも多いと思いますので、代表的な取引の一連の資料を入手して、内容を理解できるようにする必要もあります。また、会計監査人からも資料の依頼がくることが想定されますので、その準備の意味にもなります。
本日の記事は以上になります。
私も導入プロジェクト支援させていただいた際は、非常に神経を使うステップでしたので、大変だったことを覚えています。ここで方針を誤ってしまうと取り返しが付かなくなってしまいますので、最初にして最大のヤマバになります。ここを抜けると、次は詳細分析ですが、それは明日に回したいと思います。
それでは次回の記事で会いしましょう。
必要事項をご記入いただき、(送信)ボタンを押してください。
お問い合わせに関しては2営業日以内で返信いたします。