
2020年10月19日 / BLOG
こんにちは。公認会計士・税理士の金森俊亮です。
本日は、昨日からの続きで最終段階の分析的手続について記事にします。分析的手続の定義や計画段階の分析的手続に関しては昨日の記事に書いていますので、興味がある方はそちらをご覧ください。
なお、今回の最終段階の分析的手続は、期末監査を想定して時期等を記述していますが、四半期レビューにおいても実施をします。いわゆる監査意見を表明する際には必ず実施しないといけないものになりますので、心に留めておいていただければと思います。
目次
最終段階の分析的手続とは、監査の最終局面で、監査対象の財務数値全てに対して、分析的手続を実施することです。
この分析的手続を行った結果、無限定適正意見等の監査意見を表明しても良いかどうかを判断します。
最終段階の分析的手続は、3月決算会社の監査であれば、4月の終わりから5月の始めくらいにかけて実施することが多いと思います。最終段階の分析手続をやり始めると監査も終盤に差し掛かったなぁと思いますね!
最終段階の分析的手続は、計画段階と同様にExcelを使用します。3期分くらいの数値を並べることで、増減を把握し、その増減理由が説明がつくものかどうなのかを確認します。
例えば、当期は売上高が増加しているがコロナウィルスの影響によりテレワークが増加したため、テレワーク関連の商品が大きく売上を伸ばしたことによるものだから妥当なものである。といったことをコメントとして付していきます。(監査の時は、この商品の売上が〇〇百万円増加した等、数値を使用してコメントを付す必要はありますが)
また、回転期間や利益率といった各種の比率分析に関しても同時に分析を行うことで、説明がつく状況なのかを確認します。
こちらも例示をすると、売掛金の回転期間が伸びているが、これは当期に期末での売上が前年よりも伸びている事によるものであり、売掛金の滞留ではないといったことをコメントとして付します。
最終段階の分析的手続のイメージです。貸借対照表・損益計算書・包括利益計算書・キャッシュフロー計算書、全てに対して実施します。
最終段階の分析的手続は、現場の担当者の中で、一番年次が高い人間がやっていることが多いと思います。(いわゆる現場責任者、インチャージと呼ばれたりもします)
期末の監査ではチームメンバーが各勘定科目を担当して、各勘定科目の増減分析を実施しています。その結果を集約して、最終段階の分析的手続を実施します。
ここで、ただ単に集約するだけでは意味がありません。財務諸表は、全ての数値を表示するので、いわゆる森のようなものですが、各担当者は、その中の木、一本一本を調べていて全体像までは把握できていないことが多いので、最後は現場担当者が、各担当者の調べた木の結果を見て、森としても異常がないかを確認するからです。
また、最終段階の分析的手続は計画段階と同様、審査において必須の資料になりますので、審査において説明する人が作成した方が良いです。
本日の記事は以上となります。
最終段階の分析的手続、いかがでしたでしょうか。
最終段階の分析的手続をすると、担当したクライアントの1年間の監査も思い出しながら実施をしますので、いよいよ終わりだなぁと思い、個人的には好きです。また、監査人としてどういう観点で財務諸表を見ているのかも現れますので、腕の見せ所であるところも好きですね。
明日は、分析的手続の総括的な記事を書いて、今回の連載は終わりにしようと思います。それでは次回の記事で会いましょう。
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