
2020年10月20日 / BLOG
こんにちは。公認会計士・税理士の金森俊亮です。
一昨日・昨日で計画段階・最終段階での分析的手続について記事にしました。本日は、分析的手続全体について記事にできなかった余談をまとめて記事にしたいと思います。
目次
分析的手続は、監査の最初と最後に出てくる様に、非常に重要な手続です。
今回は、計画段階と最終段階の分析的手続に絞りましたが、各勘定科目の監査を行う際も、当該科目の分析的手続で経年の比較をしたり、関連する科目との比率分析(回転期間分析)等を行います。
このように、当期の数値がどうなっているのかを確認してから、詳細手続を開始します。そして、詳細手続で残高が合っているのを確認して、その科目の当期の残高の増減理由を記載して、勘定科目の監査が終了します。
このように分析的手続は、監査全体でもやりますし、各勘定科目でもやります。どこでも通る道ですので、非常に大事な基本動作になります。
分析的手続は、監査人がどういう観点で財務諸表を分析しているか、また会社のことをどれだけ理解しているのかはコメントを読むと分かります。そういう意味では、監査人としての資質が問われる手続であるとも言えます。中々、怖いものですが、奥深いものでもあり、私自身は非常に好きですね。
また、重要なエラーは分析的手続で発見することも多いです。分析コメントが書けない場合は、大体は勘定残高が間違っている場合が多いからです。そういった意味ではどこかで間違いが潜んでいると考えて分析的手続を行うと、エラーも見つけられるようになると思います。
分析的手続は監査の基礎ですが、勘定残高が合っているかどうかを確認する詳細テストではありません。(分析的実証手続というものがありますが、それは詳細テストです)
監査で重要な勘定として特定した科目であったり、重要な勘定でなくとも、勘定残高が重要性の基準値を超えている場合は、詳細テストを行わないといけませんので分析的手続+詳細テストが必要です。
期末監査では、分析的手続で終わらせることはできません。しかし、四半期レビューでは、分析的手続と質問が中心の手続になりますので、説明のできる残高になっているかを増減分析や比率分析で確かめることで、レビューに関する結論は形成できます。ここが保証水準の違いによるところですね。
経理の方も、自身で作成した財務諸表が合っているかどうかを確認するために、増減分析を行って、取締役会向けの説明資料を作成しています。監査でもこの増減分析は入手して参考にしています。
ただし、そのコメントを何も考えずにパクっていると職業的懐疑心が足りていませんので、若手の方は注意しましょう。
本日の記事は以上になります。
分析的手続、監査基準上はさらっとしか書かれていませんし、中々イメージがつかないかと思います。しかし、実務に就くと一番実施することになる手続だと思います。
財務諸表は複式簿記で作成されていますので、どこかで悪さをしようとすると、必ず相手となる科目が異常になるように出来ています。分析的手続をしっかりやることが監査を失敗しないことの近道ですので、受験生の方は、あまり実感が湧かないかと思いますが、大事な手続なんだということを認識してもらえればと思います。
それでは次回の記事で会いましょう。
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