
2020年10月22日 / BLOG
こんにちは。公認会計士・税理士の金森俊亮です。
本日は、昨日の棚卸立会の続きです。昨日は、棚卸立会の準備について記事にしましたが、本日は実施中について記事にしたいと思います。
棚卸立会中にやることは大きく分けて4つです。
目次
立会では、会社の内部統制が適切に実施されているかを確認する必要があります。
事前に入手する棚卸要領で、棚卸方法に問題がないことを確認した後は、それが適切に行なわれていることも確認するわけです。
棚卸は、1箇所でさらに狭い場所であるなら、監査人も全てを見れるので、問題はありません。しかし、色々な場所で行われていたりする場合や棚卸を行う場所が広大であれば、すべてを見て回ることはできません。
そのため、監査人も内部統制に頼るしかなくなりますので、内部統制の状況を確認します。そして、棚卸がしっかりやっているということを確認できれば、その棚卸結果はある程度信頼性があると監査人は判断できるわけです。
会社の方も、会計士が見ているということで、緊張されている中でカウントしていたりしますので、多少のミスったりもあると思いますが、その都度、確認してもらえればと思います。
また、たまに会計士監査の意味が分からず、いつも通り(?)ふざけてやっている方もいますので、そちらには気を抜かないようにしましょう(笑)
また、棚卸の結果を集計するところまで見ることもありますので、棚卸立会は長時間に及ぶこともあります。
棚卸立会には、内部統制を確認するという側面がある一方、実証手続及び内部統制の運用評価手続として自身で数量があっているかを確認することがほとんどです。
テストカウントと書いてあるように、全件ではなく、一部を試験的に数えます。何件数えるかは、チームに寄ります。(数えることも実査というのだと思っていますが、基準上は実査とテストカウントが別のように取り扱われていますね。もう少し、棚卸資産をしっかり見ることを実査と呼んでいるのでしょうか。)
基本的には、以前書いた統計的サンプリングの考え方を用いて、数えるべき件数を事前に割り出していると思います。(この場合は、件数だけ割り出すソフトを使うと思います。)
また、複数拠点で棚卸を行っている場合は、拠点ごとに割り当て件数もあると思います。このテストカウントの件数の算出等は、監査チームごとによって千差万別だと思いますので、基本的には棚卸立会の前にミーティングをやることで、明らかにしていると思います。
テストカウントでは、基本的に会社がやったカウントの後で、自身でカウントするということも多いと思いますが、会社のカウント結果を鵜呑みにしないよう、しっかり数えてくださいね。人間、数値があるとその数値に合わせにいくようにしてしまいますので。
また、基準上で書かれているように、リストで見つけた棚卸資産を実際に数えるやり方(このやり方はリストがあっていることを確かめられる)や棚卸資産を数えてから、リストにあるのかを探しに行くやり方(この場合、もしリストに漏れている場合も気づくことができる)の2パターンがありますので、それらの件数も併せて確認しておきたいところです。
ここで、カウントした結果は、後日、棚卸が確定した後の棚卸資産の明細表と数量を突き合わせることで、問題がないことを確認します。
基本的に、棚卸立会はクライアントが行程表を作ってくれて、会社の担当者と一緒にツアーのような形で回ることが多いと思います。もちろん、その行程表にのり、動く必要があります。
しかし、その行程表で訪れる先で、閉まっていて物とかがあれば、開けても良いか聞いて開けたり、少し道を外れて、何か物を隠していそうなところがないかを確認してください。それが職業的懐疑心です。
棚卸立会では、棚卸資産として計上されていないので、除外品等もありますので、なぜ除外品になっているか等についてもクライアントに積極的に質問をしましょう。
棚卸の際に、見逃してしまうとマズいのは以下のようなものですので、これらがないかは常に意識して、色々と自身で動き回ることが必要です。
棚卸の際には、棚卸する直前での入荷伝票と出荷伝票も入手をしておき、その会計処理の日付が問題ないかを確認することで、期間帰属の妥当性(実務ではカットオフといいます。)を確認しますので、これらの資料も忘れないように入手しましょう。
本日の記事は以上になります。
今回は、普段の2倍程度の分量になってしまったので、少し読むのが大変だったかと思いますが、棚卸の実施中は色々と見るべきところがありますので、勉強の足しになればと思いますし、実務に就いている方にも参考になれば幸いです。
それでは次回の記事で会いましょう。
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