
2020年10月27日 / BLOG
こんにちは。公認会計士・税理士の金森俊亮です。
本日は、以前記事にした収益認識に関する会計基準(以下、新収益認識基準と言います。)の導入に関して、続編を記事にしたいと思います。
前回までは、プロジェクトにおいて実施するフェーズや成果物について記事にしましたが、今回は新収益認識基準を導入するに際してのスケジュール感について記事にしたいと思います。
目次
新収益認識基準にて会計処理が変更になるものは、適用年度の1年前までに詳細分析も終えて、会計方針の変更に関して確定させることが望ましいです。
すなわち、3月決算であれば、2021年4月から適用開始になりますので、2020年3月までに終わらせることが望ましいとなります。
その他、会計処理が変わらないものであっても、2020年3月までに会計監査人と、会計処理について合意をしていることが望ましいと考えられます。
新収益認識基準は、公表(2018年3月30日)から適用(2021年4月1日)まで、3年超の期間があったように、影響が大きいからこそ、準備期間を長めに取られています。
そして、売上高という財務諸表の中で1位、2位を争う重要な科目ですので、本番で失敗することは許されません。また、業務フローにも大きく影響を与える可能性もあります。
そのため、適用開始の1年前からトライアルを行い、試行錯誤を繰り返しながら本番年度を迎える必要があります。特にシステムの変更や、現業の方に追加の作業を依頼するようなもの(すなわち経理だけでは完結しないようなもの)に関しては、より注意が必要です。
現業の方に追加の作業を依頼する場合、当然ながら、現業の方は新収益認識基準のことを熟知しているわけではありません。ですので、業務フローが変更になっても意図を汲んでくれず、間違えた情報を経理に提出してしまう可能性もあります。それらの可能性を視野に入れながら、本番適用前年度の四半期ごとにトライアンドエラーを繰返しながら決算を迎えるのが良いと思います。
本番適用年度の前年度までに会計処理を固めると考えた場合、概要分析と詳細分析はどの様なスケジュール感で行えばよろしいのでしょうか。
これに関しては、詳細分析に進む論点の数によりますし、プロジェクトのマンパワーにも寄りますので、確実的なことも言えないのですが、遅くともプロジェクトは会計処理を固める1年前からはスタートさせた方が良いと思います。すなわち、3月決算であれば、2019年4月からはスタートさせた方が良いでしょう。
8月くらいまでに、概要分析を終わらせ、網羅的に論点を確認し、9月から詳細分析を行うのが理想だと考えられます。
この詳細分析では、システムやフローの変更も決定させるため、長めにとりましょう。システム変更は、開発に関しても時間を取られますので、早めに動くに越したことはありません。
本日の記事は以上になります。
私が新収益認識基準導入プロジェクトのお手伝いをした時の経験を基に、記載しました。
上記は、プロジェクトに割ける人員数がある程度潤沢にあることを想定して記事にしています。ですので、現実問題無理だよという声もあろうかと思います。ただ、早くやってしまうに越したことはありません。テストもせず、本番を迎えることだけは、リスクが高いので、避けるべきということだけは念頭に入れておいてもらえればと思います。
それでは次回の記事でお会いしましょう。
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