
2020年10月28日 / BLOG
こんにちは。公認会計士・税理士の金森俊亮です。
本日は、収益認識に関する会計基準(以下、新収益認識基準と言います。)の注記に関して記事にしたいと思います。
目次
新収益認識基準は2018年3月31日に公表されました。
しかし、その際は、会計処理の方針について主な記述がなされており、注記に関しては、必要最低限の記述のみとし、詳細を定めていないという状況でした。
そして、2020年3月31日にも改定がなされ、注記の内容を確定させています。
なお、注記で求められている内容は基本的にはIFRSや米国会計基準を踏襲しています。
新収益認識基準において求められている注記は主に以下の通りです。会計方針と独立した項目として注記を行うことが想定されます。
新収益認識基準の80−2項にて以下のとおりと定められています。
重要な会計方針において、履行義務に関する注記は必須項目として注記を行い、その他に関しては各社が判断しながら記載するか否かを決めていくことになります。
新収益認識基準の80−5項にて以下の通りと定められています。
ただし、この3つの注記は、全てを注記することがマストではなく、収益認識に関する注記の開示目的に照らして注記の可否を判断するとしています。なお、開示目的は、財務諸表利用者が、収益及びキャッシュ・フローの性質、金額、時期及び不確実性を理解できるために十分な情報を開示することです。
また、開示目的に照らして、上記以外の情報を注記することも問題はありません。
これらの注記の具体的な内容に関しては、本日は取り扱いませんが、興味のある方は、新収益認識基準80−12項以降をご確認ください。
実務においては、以下の対応となる会社が多いのではないかと筆者は想定しています。
マストとして、記載が求められている事項に関しては、開示する。
一方、その他の項目に関しては、業種にもよりますが、ミニマムでの開示がスタンダードになると想定しています。
例えば、履行義務の充足時点が一定期間のものが多い業種は、契約資産や契約負債、残存履行義務に配分した取引価格といった項目を注記することが考えられますが、履行義務が一時点のものが大半の場合は分解情報を記載して終わりということも想定されます。
こういった開示の感度に関しては、既にIFRSや米国会計基準で財務諸表を作成している会社は、注記を行っていますので、参考にされるのがよろしいかと思います。
本日の記事は以上になります。
会計処理を定めても注記に関しての検討項目があり、まだまだ大変な基準であることには変わりありません。
また、重要な会計方針、収益の分解情報といった項目は四半期においても求められているため、3月決算の会社においては、2021年6月の第1四半期から注記が必要ですので、準備を行う必要があります。(その他の項目は年度末まで間に合いますが、決めておいた方がよいですね)
ですので、注記に関してもインプットをしっかりしていただいて本番を迎えてもらえればと思います。
それでは次回の記事で会いましょう。
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