
2020年11月7日 / BLOG
こんにちは。公認会計士・税理士の金森俊亮です。
本日は、内部統制に対する監査を実際にどのように行っているかについて記事にします。
内部統制に対する監査は、前日の記事でも書きましたが、内部統制報告書監査をしていない会社に対しても実施しています。そのため、会計監査が入るほぼ全ての会社に対して実施しています。会計士として監査に従事すれば、必ずやることになりますので、受験生の方には、頭の片隅に置いてもらえればと思います。
なお、内部統制報告書監査を行う会社に対しても、今回記事にする内容と共通する作業というのはたくさんありますが、さらに+αの作業がありますので、そこに関しては、後日、記事にしたいと思います。
目次
内部統制を評価する際には、以下の2つのステップを踏みます。
本日は、このうち整備状況の評価に関して記事にします。
整備状況とは、文字通り、内部統制が適切に整備されているかを確認することです。内部統制の目的は、以前の記事にも書いた通り、重要な間違いをどこかで防ぐ仕組みです。会計監査では、会計数値に影響を及ぼす重要な間違いが発生することを防げる内部統制なのかを確認します。簡単な例題を以下に示します。
(例題)
A商店は街の一角にあるお店です。現金商売をしていて、1日の営業の締めに現金と売上高を確定させています。
A商店では、閉店後に現金を数えて、レジが認識している売上と一致しているかを確認をします。その後、会計ソフトに以下のように入力して、一日分の仕訳を入力しています。
(現金) 100 / (売上高) 100
この場合、間違いが発生する可能性は2か所あります。以下の2点です。
①現金を数える際に、誤って数えてしまい、売上高と現金の残高を間違えて認識する。
②会計ソフトに間違えた勘定科目や金額で入力する。
この場合、一般的には、以下のようなことを業務として行っていると思います。
①現金を数える店員さんと店長さんやもう一人の店員さんが数えることで、残高が正確であることを確認する。
②会計ソフトに入力した人が結果を印刷して、確認者に提出をし、間違っていないことを確認したら、それぞれが印鑑を押す。
このように内部統制としてのやり方が定まっているか、また間違いが発生していてもどこかで発見できる仕組みになっているかを監査手続を行い、評価することが整備状況の評価になります。
なお、間違いが発生していてもそれを発見できると考えられるコントロールをキーコントロールと言います。このキーコントロールは、運用状況の評価につながりますので、覚えておいてください。
監査では、取引の開始から会計に反映されるまでの一連の流れについて、サンプルで1件の取引を抽出し、資料を入手して確認をし、さらに担当者の方に実際のやり方を質問することで、整備状況を確認しています。この一連の監査手続を一般的にはウォークスルーと言います。
ウォークスルーの実施時期は、期首から4,5ヵ月経ってから行うことが多いです。3月決算であれば、8月、9月くらいですね。
また、このウォークスルーは、基本的に毎年行い、変更がないことを確認していますし、変更がある場合はそれが整備状況としてどうかを評価しています。
本日は以上となります。
整備状況の評価、いかがでしょうか。名前を見ると、物々しい感じがありますが、毎年やっていることですし、慣れるとスムーズにできます。ただ、このウォークスルーは、取引の流れやあるべき統制について学べるので、真面目にやれば、非常に勉強になると思います。
明日は運用状況の評価について確認したいと思います。それでは次回の記事で会いましょう。
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