
2020年11月9日 / BLOG
こんにちは。公認会計士・税理士の金森俊亮です。
本日は昨日に引き続き、内部統制に関する監査について記事にしたいと思います。
昨日は、内部統制の整備状況の評価について記事にしました。本日は、運用状況の評価について記事にしたいと思います。
目次
運用状況の評価とは、読んで字の如く、整備されている内部統制が実質的に運用されているかどうかを評価することです。
整備状況では、ウォークスルーを行い、内部統制のコントロールを確認し、その中でも財務諸表の間違いを防ぐ重要なコントロールを特定し、キーコントロールとする点は昨日、記事にしました。
このキーコントロールが実際に運用されているかを、何件もテストを行うことで確認をすることが運用状況の評価と言います。
運用状況の評価は、実際に内部統制が運用された形跡のある資料を入手して行います。
例えば、仕訳伝票を入手することがありますが、その伝票には、内部統制が運用されていれば、入力を行った担当者の印鑑やサイン、またその仕訳を確認した別の方の印鑑やサインがありますので、それを入手して、他の根拠資料とも照らして、間違えていないということを証票突合を実施することで、確認します。
運用状況の評価は、整備状況の評価が完了してから実施するのが建付けです。そのため、3月決算の会社であれば、整備状況を行った後、9月くらいから始めるのが一般的かと思います。
また、内部統制は期首から期末にかけて常に行われていないと意味がありません。そのため、一定数のサンプルでやる必要もあり、対象とする取引も年間を通してばらけさせる必要があります。ですので、実務上は9月から初めても2月、3月くらいまで往査の都度実施することが多いかと思います。
なお、運用状況の評価は上述した通り、期末まで実施されていることを確認する必要があります。
しかし、3月の取引まで待っていては期末監査に食い込んでしまいます。ですので、実務上は12月くらいまでの取引に対して、証票突合を行い、残りの3か月分は、内部統制の変更が行われていないということを質問をすることで、補完することが多いです。
なお、これをロールフォワード手続と言います。
整備状況の評価は、1件のサンプルで良いのですが、運用状況の評価は、上述の通り、年間を通じて、一定以上のサンプル数をテストします。
このサンプル数は、内部統制が実施されている回数に応じて変動します。例えば、毎日の店舗の締めのようなものであれば、毎日ということで日次で内部統制が行われています。
また、多店舗展開を行っていれば、1日のうちに2つ以上の店舗で実施していますので、日次で複数回の内部統制が行われています。
一方、月末に締めで発生するような内部統制であれば、月次だけでしか行われないでしょう。
このように、内部統制の実施回数は内部統制によって変わります。その中で、サンプル数の決定は、統計学上、内部統制が適切に運用されていない(逸脱と言います)可能性が10%以下になるように組まれています。
例えば、日次で複数回の内部統制であれば、年間25件テストをし、全て逸脱なく運用されていれば、この内部統制の逸脱率は10%以下であると統計学上は言えます。日次で1回の内部統制であれば15回です。
また、このサンプル数は、逸脱がまったく発生しないと監査人が考える場合ですが、一定数の逸脱が発生する可能性がある場合は、初めからサンプル数を増やすことも考えられます。
さらに、統制リスクが高いと評価をされるもの、例えば、売上高のように不正リスクを抱える内部統制に関してもサンプル数を増やして、精度を高めていく必要があります。
本日の記事は以上となります。
内部統制の運用状況の評価は、年間を通じて行いますので、期中でクライアントに伺うと、これをやっていることが多いです。また、逸脱も発生しないことを祈りながら実施していることが多いですね。
ひたすら資料の確認をしていることが多いので、あまり面白みを感じないことも多いのですが、資料の確認を通じて、クライアントのビジネスを理解していけば、少しは見え方も違うのかなと思います。
それでは次回の記事で会いしましょう。
必要事項をご記入いただき、(送信)ボタンを押してください。
お問い合わせに関しては2営業日以内で返信いたします。