
2021年01月8日 / BLOG
こんにちは。公認会計士・税理士の金森俊亮です。
本日は、Twitterで監査実務における質問を募集した際にいただいたDMに対しての回答になります。
少し、質問をいただいてから時間が経ってしまっているのですが、ご容赦ください。
目次
DMで以下のように質問を頂戴しました。
「逸脱率推定する時の例外的事象がある場合で、運用評価手続と詳細テストの両者の取扱の違いを書いていただけたら幸いです」
監査基準委員会報告530「監査サンプリング」の12項の規定に関する箇所だと思いますので、解説いたします。
監査サンプリングにおいて、例外的事象が生じることはほとんど想定されません。
少なくとも、私が10年弱担当した監査では遭遇したことはありません。
以下、全て私見となります。監査基準委員会報告書においても、例外的事象が生じることは、極めて稀であると記載があります。これは記載の強弱として、非常に強いものになります。99%超ないということが言えると思います。
監査サンプリングを行う母集団は、同質であることが求められます。同質であるからこそ、統計的サンプリングを行なっても母集団全体に対して結論を見出せるからです。
例外的事象というのは、母集団の中では、他には絶対に含まれないと言い切れるエラーだと思われます。そういうものが発見された場合、そもそものサンプリングとしての母集団が正しいのかが怪しくなります。すなわち同質ではないものが含まれている可能性が高いです。
そのため、そう言い切るためには、相当の心証を得る必要があるため、おそらくテスト対象としなかった取引について、かなりの件数を追加テストする必要があると思われます。
また、エラーが生じている理由についても理由等を監査調書に書いて、特有の状況であったと調書化する必要もあると思われます。
上記の通り、ほぼ状況が想定されなく、私も遭遇したことがないため、想像の世界になります。
運用評価手続において、例外的事象が発生した場合は、抽出していない内部統制に対して、非常に多数の運用評価手続を実施することになると思います。
また、詳細テストにおいては、他の残高についてテストを行うことになるでしょう。
ただし、私自身、どういう場合に例外的事象になるかはあまり思い浮かびません。エラーが生じたら、他では必ず生じ得ないとうのを証明するのは難しいからです。
正直、会計士試験で出題されることはあまりないと思われます。あったとしても短答式試験での1問でひっかけで出てくるのではないでしょうか。
そのため、例外的事象が起きることは、非常に稀(99%以上ない)。ある場合、より慎重にたくさんの監査証拠を集めて心証を得る必要がある。この2点を覚えておけばいいと思います。
論文式で出題するには、実務においても非常に稀である以上、回答を書かせようがないと思われます。
本日は以上になります。
監査サンプリングは非常に奥が深いです。以前も記事にしたように統計の知識もないといけませんし、私も完全に理解できているかというとそうではないと思っています。
試験では、重箱の隅をつつくような問題も出ますが、出題確率は低いと思いますし、あまり気にされる必要もないかなと思っています。他にも気になる監査論点がありましたら、TwitterでのDMでお待ちしております。
それでは次回の記事で会いましょう。
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