
2021年03月29日 / BLOG
東京都立川市の公認会計士・税理士の金森俊亮です。会計事務所を経営しています。
本日は、前回の記事の続きです。本日以降は有価証券の監査手続について記事にしたいと思います。
前回の記事はこちらから
目次
有価証券の監査手続は非常に多岐にわたります。ひとつひとつ解説をしていきたいと思います。
現金実査の際に、有価証券が保管されていれば、実査を行います。
しかし、基本的に上場企業の株式は証券保管振替機構にて管理をされているため、被監査会社に保管されていることはありません。
株券発行会社の子会社等を保有している場合に、株式が金庫に保管されていることがありますので、それを実査しましょう。
また、譲渡性預金の証書が保管されている場合もありますので、それも実査対象になります。
なお、株式発行会社の株券を持っている会社の場合、株式の数が多いこともあります。
その際には、封印をしてしまうと、翌年度以降、楽に作業ができます。
封印とは、株券を封筒に入れて、その封筒にはどの株券を入れたか、いつ誰が入れたかを記載し、テープ等で閉じてしまう事です。テープで閉じた後は、押印する等して、封印が解かれていないことを実証できるようにしておくと良いでしょう。
そうすれば、翌年は、その封印が解かれていない事を確認すれば、当該株券の実査は完了します。
有価証券は、上記の通り、企業が手元で株券として保管していないことが多いです。
ほとんどの場合、証券会社の口座にて保管をしています。そのため、証券会社に残高確認状を送付し、回答してもらうことで、実在性を確認します。基本的に、全ての証券会社の口座に対して残高確認を送付します。
返送されてきた残高確認は会社の明細と突合しましょう。
なお、残高確認で判明するのは、保有している株式数や国債の口数だけであることがほとんどです。
有価証券は、数量×単価で貸借対照表計上額が決まりますが、そのうちの数量しか、残高確認では確認できない点を留意しましょう。単価は別途の監査手続が必要です。
有価証券の取得・売却について金額に重要性がある場合、証憑突合を実施します。
証憑突合を行う場合は、取得する有価証券の種類にもよりますが、稟議書や取締役会議事録を確認して、取得理由についても確認をしましょう。
子会社化を目論んでの取得等、会社が株式を取得する動機は様々です。また、重要な通例でない取引に該当する可能性もありますので、取得事由の妥当性は確認しましょう。
また、その他出金、入金が適切に実施されているかも確認しましょう。キャッシュ・フロー計算書の検証の際に使用する可能性があります。
本日の記事は長くなってきましたので、以上となります。
次回も監査手続編を記事にしていきたいと思います。
それでは、次回の記事でお会いしましょう。なお、新規のホームページを立ち上げています。URLはhttps://sk-account.jp/です。よろしかったらご覧ください。
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